BoysLove's Blog

BL元年2019年、初心者のブログです。読後の感想を書いていますので、ネタバレです。できれば作品を読んだ後にどうぞ。

”それでも、やさしい恋をする”:ヨネダコウ

それでも、やさしい恋をする (H&C Comics/CRAFTシリーズ)
それでも、やさしい恋をする (H&C Comics/CRAFTシリーズ)
大洋図書
2014-04-01

 ”どうしても触れたくない”に登場する小野田のスピンオフ。
「魔性のノンケキラー」の嶋くんに惹かれてしまったことで、男に開眼。
本来はノンケだけど、やさしい性格が災いして、モテるのに女運悪し。


いますよねー、こういう男の人。
ソフトで人当たりがよく、敵がいない。
圧を感じさせないというか。
で、付き合ってる女の子はキツくてワガママで、相手を振り回すタイプ。


”どうしても触れたくない”は、かなりディープに嶋くんのトラウマに向き合った重たい内容でしたが、こちらは割とサラっとしたお話です。


でも、薄くないんです。


ヨネダコウさん、上手いよなー。


相変わらず、随所に散りばめられた手書きのつぶやきも面白いし。


ノンケの小野田が強く出口(ゲイ)に惹かれていることをハッキリと自覚したのは、出口が他の男とカジュアルにセックスしていることを知ったことから。


つまり、嫉妬です。


この、「嫉妬で自分の気持ちを自覚する」というのも、BLでノンケがゲイに移行するきっかけになるパターンが多いですね。


まあ、確かに通常の恋愛でも、「あれ、ワタシ嫉妬してるわ」→「っていうか、ワタシ、この人のこと好きになっちゃったんだ」っていう気づきはありますね。


そして、小野田からも気持ちを伝え、晴れて恋愛関係のスタートとなりますが、当然小野田はこの先どう進めるのかをかなり戸惑います。


付き合い始めてから2ヶ月もプラトニック。
本来、性的に奔放な出口からすれば、かなり我慢強く待ってます。
私は告白しあったら、即ヤルと思ってました。


で、ついに小野田の方からお願いです。
心の準備完了。
ここから実際にセックスするまでのシーンが大好きです。


カワイくて、面白くて、そしてエロい。


覚悟を決めた小野田。完全に自分はウケと決めてかかっており、かつマグロ状態。処女です。

小野田の「かかってきてください!」状態に唖然とする出口。「びっくりしたー」がカワイイ。


まあ、そうですよね、そうなりますよね。
この辺、妙にリアルです。
だって、わかんないんだから、
「ひとまずどうにでもしてみてください!俺、頑張ってついてきますから。」
ってなりますわね。
「大丈夫 資料は読みました。」
って、仕事みたいになってます。


出口、勘違いを諭しつつも、

とな!
モテる男はエロいことも、こんなにエロく言えちゃうんですねぇ。
その言葉がエロいっての。


初夜にも関わらず、相当アレコレやってしまったようで、小野田、放心状態。

「はぁ」って。
こういうしどけない表情も実に上手いです。
もう、小野田、ゲイに宗旨替え確定。
もはや女には戻れないでしょう。


同性愛のセックスって、ズルいですよね。
同性同士なんだから、お互いの気持ちいいところが分かりすぎるほどに分かるわけで、そんなのハマるに決まってるじゃないですか。


まあ、同性愛者だからセックスがハッピーっていうのは、ある種の偏見かもしれませんが、それでもキモチいいっていうのはあると思うなあ。。。


最後の最後で嶋くんと外川も登場!



やっぱ、外川が見たかったー。


やっぱ、外川でしょう!
最後の最後に外川、嶋、小野田、出口でシメるあたり、やっぱりヨネダコウさん、心得てます。読者の読みたいもの、見たいものを。



この作家さんの作品は遠からず全て購入して読むことになるでしょう。。。

”足りない時間”:日高ショーコ

足りない時間 (花音コミックス)
足りない時間 (花音コミックス)
芳文社
2014-02-21
Kindle本

割と初期の作品のようで、短編がいくつか収録されています。


  • 感情サイン
  • 足りない時間
  • 複雑で簡単
  • 右か左か
  • 遠距離恋愛
  • STAY

 
最初の作品は、”感情サイン”


学園モノ。


うーん、若いキャラの話にあまり感情移入できないんですよね。
流石に自分の年齢とあまりにもかけ離れているので、共感できないというか。


絵柄はまだ少々荒いのですが、それにしてもデッサンの狂いとかがありませんし、初期の段階から時から絵が上手かったんですねぇ。


学ラン、学校内でセックス、っていうあたりがフェチというか。
グッと来る人には来るでしょうね〜。


社交的で男女問わずモテる渋谷(バイってことですよね)と、無口でマジメな三上の話。


校内でセックス(プレイです。もはや。)のあと、服装を整えるところにちょっとグッときました。



続いて、”足りない時間”
”感情サイン”に登場する教師、谷川と学生時代からの付き合いの洋介の話。


渋谷と三上が校内でイチャついている場面に遭遇した谷川先生です。
自身もゲイです。
生徒に理解のある若い先生で、生徒から人気のあるタイプですよね。


一方、洋介はデザイン関係の仕事をしているという設定で、内向的なタイプ
思っていることをあまり口に出しません。


そこで、谷川は「洋介って一体ナニをかんがえているんだろう?」と葛藤するわけです。


洋介は三上とほぼ同じタイプですが、この、


「何も言わなくてもわかって欲しい。」
「俺はこんなに愛してるんだよ。」
「お前、気づけよ!」


っていうキャラはBLに多いですよね。


正直、面倒くさいヤツです。


けど、カオがカワイイので、
「もう、コイツっては拗ねちゃって。カワイイ奴。」
相手を引きつけることにまんまと成功します。


こういうキャラって、女の子が主人公の異性愛マンガ(普通の少女漫画)で通用しますかね?
ここまでムッツリしていると、どんなに可愛くても通用しないんじゃないでしょうか。
多分、女のコが同じことをしたら、むしろ反感を買うと思います。


この辺りが、「BLがBLたる所以」のような気がします。



更にいくつか収録されていますが、コレがちょっと気になったんですよ。


”遠距離恋愛”


どっかで見たよーな。
瀬尾管理官(エリート)と羽沢検事との密かな恋愛関係の話なのですが、


この二人って、”踊る大走査線”の主人公二人に似ているよーな気がするんです。
瀬尾→室井(柳葉敏郎)
羽沢→青島(織田裕二)

特に、瀬尾のオールバックの髪型と、キャリアのエリートっていうあたりが。。。
あと、眉間のシワも。


”踊る〜”って、所謂やおい系で妙に盛り上がっていたようなので、何か関連あり?と思ったのですが、気のせいでしょうかね。

”どうしても触れたくない”:ヨネダコウ

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)
どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)
大洋図書

ここまで日高ショーコ作品を読み進めてきましたが、そろそろ短編ものを読み尽くしつつありました。


で、アマゾンのおすすめにしつこく出てくる作品があります。


タイトルは”どうしても触れたくない”


そして、「いかにも」と言った表紙
読む前からストーリーがわかってしまうようなイラストです。


あれでしょ?
心閉ざしたカワイイ美少年を、正義感のあるイイ男が見初めて心を開かせてあげるっていうヤツでしょ?
読む前から分かっちゃってるんじゃん。


てなもんです。


でもねー、分かっていても気になるんです。
ヨネダコウさん、かなり評価も高いようですし。


もー、ここまで気になっちゃうとダメですね。
読まずにいられない。


で、ポチっと。
(まんまとアマゾンの思うツボです。)



ヤラレました。
やっぱり。
予感的中です。
めっちゃイイです。


心を閉ざした美少年「嶋くん」を、上司の「外川(課長)」が心開かせる話。
やっぱり、表紙の「まんま」なんですが、描写がとにかく上手い。
結論が分かっていても、重要なのはソコじゃないんですよね。
一つ一つのセリフとか、キャラクターの表情の描写に引き込まれます。


絵柄は男っぽいというか、線にいい意味での荒々しさがあり、コレが色っぽいんです。


外川は、最初のうちは部下の一人が心を閉ざしていることが、上司として気になっていたのでしょう。
色々とからかい半分にちょっかいを出しているうちに、嶋が「カワイイ」ということに気づいてしまいます。


「え、照れてるじゃん、カワイイじゃん、コイツ」ってな感じでしょうか。
外川は半ば強引に嶋を夕食に誘い出します。


そして、その帰りに「流れ」で「チュウ」
いきなりアゴを持ってキス!
このコマ割りと言うんでしょうか、流れがイイです。
人目のある中で、いきなりですもん。嶋くん青ざめます。
そこからその日のうちに、いきなりセックスです。


外川は男とは初めてのセックス。


ここで例の疑問です。
「いくら相手がカワイイからって、いきなり男同士でセックスできるものなの〜?」
しかも、初めてのデート、キスからいきなりそこまでのハードルを一気に越えられる?
ノンケでオトコ未経験の男が。


でも、外川はできちゃうんです。
「その辺、俺はあんましこだわんない」
っていう感じです。
(それ自体、ありえない切り替えだとは思うのですが)


嶋くんも、外川の順応性に驚きつつ、そこからは所謂「セフレ」になって、たくさんセックスをします。


とはいえ、外川は意外とマジメに嶋のことを思っており、単なる快楽のための関係というわけでもない様子です。


嶋も、そのあたりの外川の「暖かさ」を感じてはいますが、過去に同僚との同性での関係が会社にバレて、退社するハメにまでなったトラウマから、なかなか警戒を解くことをしません。


こうしたシリアスなストーリーが展開される中で、随所に小さく吹き出しで同時進行するコミュニケーションがまたイイんです。

「そうだなー。嶋のがいっぱいついてベトベトに」
「なってません」
「お前のツッコミは電光石火だなー」


嶋が戸惑いを感じつつ、外川主導で関係は続く中、外川は京都に転勤。
それをきっかけに、嶋が別れを切り出します。
ノンケの自分なんかと付き合っていては、外川は幸せになれない、と思いつめているんですが、この種の葛藤って、ゲイにはつきものなのでしょうか。


LGBTQの環境というのは確かに大きく改善されてきていますが、それでもまだ日本では結婚は合法化されていません。
是非とも同性婚も合法化されてもらいたいものです。
そして、性別で結婚が制限されることがない世の中になってもらいたいと、切に願いますね。


話が逸れましたが、
ここで最後にするセックスがもうやらし〜んです。


外川はズボンを履いたまま、
嶋はシャツを着たまま。
外川の怒りをぶつけるような、ちょっと暴力的な激しいセックス。

嶋は激しく感じています。


外川のカラダがヤラシイ。
しなやかで、まるでエバンゲリオンのようです。
 局部のボカシがまた!ヤバいでしょう。


結局、嶋が外川の存在の大切さに気づき、京都に会いに言って思いの丈を告白、ハッピーエンド(ハッピーセックス)となります。


その持ってき方というか、嶋の心情の描写がまた見事です。
嶋くん、コレまでずーっと受け身で外川に世話になってきましたが、ココで頑張りました。


ヨネダコウ、、、恐るべし!!!


ある意味、この作品は一つのBLの雛形の傑作と言えるのではないでしょうか。
BLのみならず、マンガ史に残る名作と確信します。


そして、ハッピーエンドのハッピーなセックス(コレがまた良かった❤️)の後のピロートークで、密かに二人を支えてくれた小野田の話が出てきます。


コレまで散々協力してくれた小野田ですが、この時点から外川にとってはライバルになってしまいました。


小野田にヤキモチを焼き始める外川。
外川って、すごくイイですよね。
このマンガの魅力は、もうほとんど外川という人物の魅力なんだと思います。
男らしいというんでしょうか。
一途で包容力がある。
いい加減なようでいて、実はちゃんと色々考えている。
上司としても実は人気があり、周囲からなんのかんの信頼されている。
一言で言うといい男なんです。


BLに限らず、マンガの魅力ってキャラクターの魅力に依るところが大きいんですね。


嶋くん、いいなあ〜。



そして、嶋くんの魅力に心ならずも気づいてしまった、小野田の話はスピンオフ、”それでも、優しい恋をする”に続きます。



あああー、キリがないよ!


BL恐るべし!!!

”After”:日高ショーコ

After【電子限定版】 (花音コミックス)
After【電子限定版】 (花音コミックス)
芳文社
2016-06-22
Kindle本

榊と岡田、美山と仁科、芦原と村上のその後のエピソード集。


榊と岡田!


嬉しい〜。
もう、この二人を見るだけでイイです。
どんどん小ネタを描いていただきたい…。


一緒にメガネを買いに行ったりしてるシーン。
なんか、男同士って、恋人同士でありつつも友達でもあり、ちょっと羨ましい関係性です。


メガネ店の店員は???となっています。
作者さんもこの二人への思い入れは強いそうです。(ヤッパリ)



更に、二人で南の島でバケーション中にケンカのシーンがありますが、ケンカすると苗字で呼び合うっていうのが、可笑しいです。

榊の日傘が、「らしい」です。
榊、多分東京生まれの東京育ちですよね。
田舎とか自然があまり似合わない。
日焼けとかもしたことなさそうです。
リゾートに行っても、ビーチで泳いだりせずにスパとか行くタイプ。



そして、更に岡田の友人へのカミングアウト。

ノンケの男が、堂々と男の友人に男の恋人を紹介するなんて、これ以上の「確約」はないでしょう。
榊、更に安心した様子。


この二人は安泰なようです。


良かった〜。



他にも美山芦原のエピソードもありましたが、割愛。
この二人ほど興味が持てませんでした。



さて、日高ショーコ作品をどんどん読み進めてきてしまいましたが、1冊単品で読める作品が残り少なくなってきました〜。


短い作品を読み終えてしまったら、長編作品に手をつけなければいけません。


ああ〜、その日はそうは遠くない予感です。。。

”初恋の後先”:日高ショーコ

初恋のあとさき (花音コミックス)
初恋のあとさき (花音コミックス)
芳文社
2012-02-28

”嵐のあと”榊のセフレだった美山が主人公のスピンオフ。


美山の「セックスに愛はいらない」的な態度の原因となった初恋相手である仁科と再会し、初恋のやり直しをする話。


こういってしまっては身も蓋も無いのですが、この作品にはノレなかったんです。
何故だか。


恐らく、美山と仁科がタイプじゃ無いんですよね。
ちょっと幼い見た目というか。
あまり色気が感じられない。


作品としては良いと思います。
ただ、好みの問題のようです。


榊と岡田の後では、ちょっと色気が足りないというか。。。


でも、一番最後の部分のセックスのシーンは好きです。


気持ち良さそう〜。
この二人は、どちらもイケるクチ(こういうのを「リバ」というそうですね)のようで、若々しく、それこそ清々しいほどにセックスを楽しんでいます。


セックスって、ある意味スポーツのようなものですよね。
汗をダラダラかいて、「あああ、キモチいい〜〜〜!」っていう。


このシーンの二人は愛おしいです。
当分の間、いっぱいセックスするんでしょうね〜。
若さに任せて。


ヤっときなさい。ヤっときなさい。たくさん出来る体力があるうちに。



BLが好きになってしまった理由の一つに、この詳細なセックス描写があります。
本来、恋愛とセックスは不可分のもの。
「好き」と告白しあって付き合い始めた直後なんて、四六時中汗びっしょりのセックスをするものでしょう。


そこのところを所謂普通の恋愛マンガではあまり描かれないんですよね。
だからと言って、エロマンガだと、あまり絵が美しくなかったり。
BLに限らず、ヘテロセクシャルでもBLのような作風があってもいいと思うんですが。


美山の屈折もすっかり治って、良かったです。
愛のあるセックスって、偉大ですねぇ。