BoysLove's Blog

BL元年2019年、初心者のブログです。読後の感想を書いていますので、ネタバレです。できれば作品を読んだ後にどうぞ。

”double line”:日高ショーコ

初恋のあとさき (花音コミックス)
初恋のあとさき (花音コミックス)
芳文社
2012-02-28


”嵐のあと”の2年後の設定のスピンオフ。
”初恋の後先”に収録されています。


榊(ゲイ)と岡田(ノンケ、榊によって男に開眼)のその後のお話。


BLではこういったスピンオフや番外編が多いようです。


それぞれのキャラクターへの思い入れが作者とファンの両方から強いのか、
で、その後どうなったの?
というのがどうしても気になってしまうのでしょう。


付き合って2年、一緒に住み始めて3ヶ月が経っていますが、あまりうまくいっていません。
所謂、倦怠期といったところでしょうか。


何となく上手くいっていない、停滞した雰囲気がで表現されています。


物語は岡田の目線で進められていきます。
そもそもこの関係ってどうなの?


ラブラブいちゃいちゃやりまくりの関係が落ち着いて、改めて考え始めている頃といったところでしょうか。


仕事でも停滞しており、いろいろ行き詰っています。
何だかなー、という感じ。


業を煮やした榊から別れを持ち出されます。
別れ話になったら、いきなり「岡田さん」に後戻りです。


「一樹」からいきなり「岡田さん」ですよ。怖いって。


榊としては、ノンケをゲイにしてしまったという後ろめたさが強烈にあるんでしょうね。
そこで「本当にアンタ、このまま続けて大丈夫?」っていうのをキッチリ確かめたくなるのでしょう。


ツンデレの榊らしい、試すような問いです。
素直に聞けばいいものを。


岡田は更に雨の中悶々としますが、答えを出します。


「俺はコレが間違いだって思ってないから」(キッパリ)
 
榊としては100点満点の答えでしょう!


「一樹」「…今日は早く帰れるだろ?」
冷たく言い放っていた「岡田さん」から、甘〜い「一樹」に逆戻り。


榊、エロい。


当然、家ではもうお楽しみです。
榊、もう容赦しないぞとばかりに攻めます。

榊も今まで、ちょっとは遠慮してたってことですかね。
「ノンケの男に、ここまではできんだろ〜」って言う。
何気に気苦労してます。


あ〜、この二人がやっぱり好きかも。
なんか、岡田がイイんでしょうか。


岡田はカッコよくて、社交性があり、仕事もできる。
キャリアもそれなりに積んできて、男としては一番アブラののった時期なんですよね。


女性からモテてモテて仕方がない、っていう黄金期を榊という男に出会って、男と付き合うことになっているっていう。


榊もやはりオシャレでカッコよく、自身の会社を経営して、自分の道を確立したオトナです。


女性から見れば、どちらも即結婚したい!と思うような魅力的な男性二人が恋に落ちでしまうわけで、これは何だかタマラないわけです。



ここまで読んできた日高ショーコ作品で、一番グッときました。

”嵐のあと”:日高ショーコ


嵐のあと (花音コミックス)
嵐のあと (花音コミックス)
芳文社
2014-02-21
Kindle本

日高ショーコ作品第3弾目。


”シグナル”に登場していたオシャレな家具屋を経営する榊の話。


榊はゲイ。
プライドが高く、ちょっと屈折してます。


美山というセフレがおり、その美山のスピンオフが更にあります。


その榊がノンケのモテ男の岡田に恋をしてしまう話。


まずは最初の出会いの段階で、岡田がノンケであることをさぐりだし、密かに諦めます。
こう言う探りって、ゲイではやるんでしょうね。最初に。


しかしながら、岡田は榊に人間的に憧れており、仲良くなるために無邪気に接近してきます。


仕事の担当を外してまで避けていたのに、それが逆に岡田の関心を引き寄せてしまったようで、岡田からのいきなりの呼び出し。


「俺は(一人であなたの)店の前です。(すぐ来てくれますよね?)」ってなもんです。


誘ってます。榊が実はかなり強く行為を抱いていることを知っていてのこの行動としか思えません。
この辺り、自分の美貌にまだ自覚がない若い女子みたいな感じです。


更に追い討ちで


「甘くて いい匂い」
「榊さんの匂いだ」


これはもう、誘っているとしか思えないでしょう。


榊としては当然、

こうなりますよね。


なのに!
そんなつもりじゃないです!
と言わんばかりに押しのけ。


そりゃーないでしょう、岡田さん。。。
榊も当然悶々とします。
「だったら、匂いとか言うかー?」って言うところですよ。


でもこれがジワジワと岡田に効いてたんですね。
岡田も悶々とし、そして榊に告白、セックスに至ります。

ココがイイですよ。。。
「もう 何も聞こえない」
岡田、宗旨替え確定の瞬間です。


他の日高ショーコさんの作品では、これまで片方が女顔の美形というパターンでしたが、この作品では両者とも男っぽいオトコです。


そのせいか、他の作品より色気を感じます。


オトコ同士のカラダと汗のぶつかり合いっていうか。


ノンケの岡田が実際に女性にかなりモテるタイプの男性だってこともあるのかもしれません。


結ばれた次の日の朝の岡田の開口一番


「ケツと腰が痛い」
(あとこかんせつ 他にもいろいろ)


も、なんか普通のオトコの人っていう感じでイイ。


そして、更に美山のスピンオフへと続くのでした。
(散財止まらない〜〜〜〜。ひえーーーー。)

”シグナル”:日高ショーコ

シグナル (花音コミックス)
シグナル (花音コミックス)
芳文社

日高ショーコ作品第2弾目。


社交的な美青年芦原に、朴訥な村上が惚れる話。


BLというのはほぼ常に、
”片方が「社交的」でもう片方は「人付き合いがあまりうまくない不器用な性格」という設定”
になっているようです。


ツンデレて「激しく照れる」という状態を発生させるためには、ある種必須の設定なのでしょうね。
芦原はバイ、村上はおそらくゲイ?という設定。



物凄くモテる芦原に対して、自分はその他大勢の中の一人でしかないことにイジける村上が、実は芦原から凄く愛されており、そのことに気づいてちゃんと付き合うようになる、という話。


芦原は”リスタート”の匡に似てます。


そして、このマンガの見所は芦原の美貌といったところでしょうか。



ところで、”シグナル”からスピンオフがいくつか出ており、当然のようにその全てを次々に購入&ダウンロードすることになってしまいました。


BL、とんだ散財です。。。。

”リスタート”:日高ショーコ

リスタート (バーズコミックス ルチルコレクション)
リスタート (バーズコミックス ルチルコレクション)
幻冬舎コミックス
2016-11-01
Kindle本

体調が悪い時というのは、本音の本音の本音が出てしまうのでしょう。


夏風邪を引いて臥せっていたのですが、本を読もうにもダルくて集中できず、テレビやネットの動画を見るのもしんどい、ラジオやポッドキャストにも集中できない。


黙って眠っていれば良いのですが、具合が悪い時って案外眠れなかったりします。


眠れないということは何かをしていなければいけないわけで、マンガを読み始めたのですが、これすら集中できない。


そこで、BLマンガに手を出してしまったのです。


この時点からは「間違ってたまたま購入してしまった」のではなく、「BLマンガが欲しい」とはっきりした意図を持って、BLのカテゴリーで検索を始めてしまいました。


初心者ですから、ドギツイのは流石に無理そうですので、絵がキレイな作品を探すことにしました。


日高ショーコさんの表紙がキレイだし、人気も高いようです。


手っ取り早く1冊で完結していそうなマンガを選んでダウンロードしました。


後輩モデルが先輩モデルに恋をしている話ですが、そもそも「男性モデル」なんて、なんてBL向きな設定なのでしょう。



BLマンガの登場人物の基本は、容姿端麗(女性顔)な若い(20歳前後)の男性で、痩せ型(細マッチョ)の長身。


この辺りが現実のゲイとは違うんでしょうね。


ゲイのモテはもっとマッチョで、男くさーい顔立ちだと思うので。


そしてここでも、「無口な美少年(心閉ざし気味)」はゲイ、「社交的でモテ男」はノンケという、「片方はノンケ」の設定です。


やはり90年代とは異なり、セックスの描写はかなり具体的です。


それにしても、繰り返しになってしまいますが、いくら美しいからといって、ノンケの男がゲイのセックスをそう簡単に受け入れられるんでしょうか。


しかも、アナルセックスですよ?
(相当気持ちいとは聞きますが)


もし、現実にいるとすれば、それは幅広いセックスを楽しめる恵まれた人ということになるでしょう。


日高ショーコさんは、とにかく絵、というか線がキレイです。


ストーリーというよりも、描かれた登場人物の線の美しさを堪能する感じです。


そして、この後、ひたすら日高ショーコ作品をダウンロードし続けることになってしまいました。。。

”幸福男子(ラッキーくん)”:高口里純

幸運男子(1) (高口組 BL系)
幸運男子(1) (高口組 BL系)
クリーク・アンド・リバー社
2014-11-14
Kindle本

BLなんて、これまで読んだことないと思っていたけれど、「もしかしたら、あの時読んだあれは実はBLはこちらだったのでは?」と思い至り、改めてkindleでダウンロードして読んでみました。


(便利な時代になったものです。本屋に注文などしなくったって、Kindleで一瞬でダウンロードできてしまうんですから)



はり、正真正銘のBLでした。



連載当時にちらっと立ち読みしたような記憶があったのですが、その当時は「カッコいい男のコのお話」ぐらいで深く考えず流してしまいました。


時代は1990年代のはじめであり、まだBLというジャンルもはっきり確立されていなかったのではないかと思います。


むしろ「やおい」とか言われていた頃?



はっきりとセックスしているシーンもなく、ストーリーは


男(しかも義理の兄弟)に惹かれてしまったけど、どうしよう?
どうしたらいい?
どうなっちゃうの?


という葛藤が主であり、1990年の連載当時にはいわゆるセックスにまでは至っていません。


実際にセックスが描かれたのはかなり時間を置いて、1999年あたりに描かれた番外編の3巻以降です。


1990年当時は、インターネットがまだ普及していませんでしたので、ゲイが具体的にどういうセックスをするのかをリサーチすることも、ままならなかったことでしょう。


私自身、当時はアパレル業界にいましたし、ナイトクラブにも通っていたためゲイの知り合いはかなりいましたが、どういったセックスをしているのかまでは知りませんでした。
(何となくアナルセックス?ぐらいのぼんやりした知識のみ)


思えばインターネット普及以降、作家さんのリサーチ力も大幅に上がったはずで、作画においても、人物の作り込みにおいても、マンガの描かれ方は格段にリアリティーが増した気がします。


高口里純といえば、”花のあすか組!”にハマって以来、その後のマンガはしばらくの間ほとんど読んでいました。


絵柄が好きで、この方の描く男性がとにかくカッコいいのです。


基本、皆同じ顔です。
つり目の、どちらかといえば馬面。
実写にするなら、若い頃の長瀬智也みたいな。


特に、”ロンタイBaby”の二神堂 緋郎(ニガミドウ ヒロウ)なんて、連載当時惚れ惚れしてました。



あと、”EX-MEN訊いて”のマーメイドとか。

マーメイド、モデルです。


BLの定石として、
無表情で心を閉ざした美少年」の心を「社交的でモテるノンケの男(つまり、普通に男として魅力がある)」が何故か惚れ込んでしまい→口説き落とす。→そしてセックスする。
というのがあると思いますが、この作品ではその過程がとても上手く描かれています。


この作品では、社交的でモテているノンケの男、”(むら)”が、無表情で心を閉ざした美少年、”すばる”になんとなくキスしてしまったことをキッカケに惹かれていき、斑がすばるを口説く形で進んでいきます。


高校生の男同士が、「なんとなく」「身長差がちょうどいいから」「その場のノリで」キスなんか、しないでしょう。普通は。


けど、お互いの容姿が美しいことが「オトコ同士でキモ(ち悪い)!」というハードルを超えさせちゃうのでしょうか。


キスしてしまったことに葛藤する斑ですが、割と早い時点で気持ちを切り替え、自分の気持ちや衝動に戸惑いながらも、すばるをどんどん攻めていきます。


一方、すばるはもともとゲイだったようです。


一応最初の頃は女の子と付き合ってはいますが、それほど思い入れがあったようには見えません。
むしろ、言い寄られてなんとなく付き合ってしまっていたようで、斑との関係が始まると、あっさりと女の子の方はやめてしまっています。


BLの最大の難関は、ハッピーエンドに持っていきずらいことで、ハッピーなBLカップルの日常は、今日では”昨日何食べた?”などで描かれていますが、これは LGBTQの認知度が社会的にこの20年でかなり高まったからこそ、なのでしょう。


そして、この作品の最後は最悪です。


なんと、やっと大学受験を終えて一緒に住める?というところで、すばるが交通事故で死んでしまい、数年後の斑が大人になって孤独に生きているというところで終わります。


正直、「連載当時読んでなくてよかった〜」と思いました。


これはトラウマになるでしょう。
今でも、2巻のこの最後の部分は読みたくないです。
落としすぎじゃないでしょうか。
連載当時のファンはさぞかし辛かったことでしょう。


まあ、「結ばれて以降は未来永劫幸せに暮らしましたとさ」と言う終わり方は難しかったんでしょうね。
今よりゲイに偏見も強かったでしょうから、ゲイカップルが普通に幸せに付き合っている、と言う状態も想像しずらかったでしょうし。


そんな罪滅ぼしとでもいうのか、1999年に3巻に当たる部分の番外編を発表されています。


時間軸を少し戻して、斑とすばるが実際に結ばれるまでのエピソードが描かれています。
ファンとしては、一番オイシイ部分をやっと貰えたといったところだったのでしょう。


唯一不満なのは、10年近くが経過するうちに、作者の絵柄が微妙に変化してしまったことです。


大抵の作家さんは、ある時点まで作画の能力はどんどん向上していきます。
高口里純さんの場合、1990年代はじめのあたりがピークだったのではないでしょうか。


3巻での絵柄は、かつての「ゾクゾクするような」いい男の表情ではなくなってしまっているんですよね。
絵が老けるとでもいうのでしょうか。


こればかりは、どうしようもないことなのでしょうが。


こういった、絵柄が老けてしまって残念問題」は、大御所作家さんがかなり時間をおいて続編や番外編を描くときに、必ずといって良いほど起こります。
池田理代子さんの”ベルサイユのばら”の番外編とかね。


往年のファンとしては、続きが読めて嬉しい反面、「これは私の〇〇(キャラクター名)じゃない!」と、複雑な気分になります。

幸運男子(3) (高口組 BL系)
幸運男子(3) (高口組 BL系)
クリーク・アンド・リバー社
2014-11-14
Kindle本

とはいえ、やはり二人が結ばれるところはグッときます。
時代は1999年ですから、インターネットは普及し、ゲイのセックスライフもシークレットではなくなったためか、斑とすばるは遂にガッツリセックスしてます。


それにしても、この作品が書かれた頃はまだBLという言葉はなかったですし、さらに「腐女子」という言葉もありませんでした。


しかし、斑の彼女の「ヒナちゃん」はいわゆる腐女子なんですよね。


斑とすばるのツーショットに萌えるあたりや、色々なリアクションが腐女子そのもの。


ヒナちゃんはヤキモチを焼くどころか、二人の関係を応援すらしています。
そのせいか、女性キャラとしてヒナちゃんはあまりジャマじゃないですね。



そして、BLといえばツンデレ。


コレが一番グっときたシーンです。



それにしても、何でBLって何度も読み返してしまうんでしょうか。


中毒性高いです。