BoysLove's Blog

BL元年2019年、初心者のブログです。読後の感想を書いていますので、ネタバレです。できれば作品を読んだ後にどうぞ。

”どうしても触れたくない”:ヨネダコウ

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)
どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)
大洋図書

ここまで日高ショーコ作品を読み進めてきましたが、そろそろ短編ものを読み尽くしつつありました。


で、アマゾンのおすすめにしつこく出てくる作品があります。


タイトルは”どうしても触れたくない”


そして、「いかにも」と言った表紙
読む前からストーリーがわかってしまうようなイラストです。


あれでしょ?
心閉ざしたカワイイ美少年を、正義感のあるイイ男が見初めて心を開かせてあげるっていうヤツでしょ?
読む前から分かっちゃってるんじゃん。


てなもんです。


でもねー、分かっていても気になるんです。
ヨネダコウさん、かなり評価も高いようですし。


もー、ここまで気になっちゃうとダメですね。
読まずにいられない。


で、ポチっと。
(まんまとアマゾンの思うツボです。)



ヤラレました。
やっぱり。
予感的中です。
めっちゃイイです。


心を閉ざした美少年「嶋くん」を、上司の「外川(課長)」が心開かせる話。
やっぱり、表紙の「まんま」なんですが、描写がとにかく上手い。
結論が分かっていても、重要なのはソコじゃないんですよね。
一つ一つのセリフとか、キャラクターの表情の描写に引き込まれます。


絵柄は男っぽいというか、線にいい意味での荒々しさがあり、コレが色っぽいんです。


外川は、最初のうちは部下の一人が心を閉ざしていることが、上司として気になっていたのでしょう。
色々とからかい半分にちょっかいを出しているうちに、嶋が「カワイイ」ということに気づいてしまいます。


「え、照れてるじゃん、カワイイじゃん、コイツ」ってな感じでしょうか。
外川は半ば強引に嶋を夕食に誘い出します。


そして、その帰りに「流れ」で「チュウ」
いきなりアゴを持ってキス!
このコマ割りと言うんでしょうか、流れがイイです。
人目のある中で、いきなりですもん。嶋くん青ざめます。
そこからその日のうちに、いきなりセックスです。


外川は男とは初めてのセックス。


ここで例の疑問です。
「いくら相手がカワイイからって、いきなり男同士でセックスできるものなの〜?」
しかも、初めてのデート、キスからいきなりそこまでのハードルを一気に越えられる?
ノンケでオトコ未経験の男が。


でも、外川はできちゃうんです。
「その辺、俺はあんましこだわんない」
っていう感じです。
(それ自体、ありえない切り替えだとは思うのですが)


嶋くんも、外川の順応性に驚きつつ、そこからは所謂「セフレ」になって、たくさんセックスをします。


とはいえ、外川は意外とマジメに嶋のことを思っており、単なる快楽のための関係というわけでもない様子です。


嶋も、そのあたりの外川の「暖かさ」を感じてはいますが、過去に同僚との同性での関係が会社にバレて、退社するハメにまでなったトラウマから、なかなか警戒を解くことをしません。


こうしたシリアスなストーリーが展開される中で、随所に小さく吹き出しで同時進行するコミュニケーションがまたイイんです。

「そうだなー。嶋のがいっぱいついてベトベトに」
「なってません」
「お前のツッコミは電光石火だなー」


嶋が戸惑いを感じつつ、外川主導で関係は続く中、外川は京都に転勤。
それをきっかけに、嶋が別れを切り出します。
ノンケの自分なんかと付き合っていては、外川は幸せになれない、と思いつめているんですが、この種の葛藤って、ゲイにはつきものなのでしょうか。


LGBTQの環境というのは確かに大きく改善されてきていますが、それでもまだ日本では結婚は合法化されていません。
是非とも同性婚も合法化されてもらいたいものです。
そして、性別で結婚が制限されることがない世の中になってもらいたいと、切に願いますね。


話が逸れましたが、
ここで最後にするセックスがもうやらし〜んです。


外川はズボンを履いたまま、
嶋はシャツを着たまま。
外川の怒りをぶつけるような、ちょっと暴力的な激しいセックス。

嶋は激しく感じています。


外川のカラダがヤラシイ。
しなやかで、まるでエバンゲリオンのようです。
 局部のボカシがまた!ヤバいでしょう。


結局、嶋が外川の存在の大切さに気づき、京都に会いに言って思いの丈を告白、ハッピーエンド(ハッピーセックス)となります。


その持ってき方というか、嶋の心情の描写がまた見事です。
嶋くん、コレまでずーっと受け身で外川に世話になってきましたが、ココで頑張りました。


ヨネダコウ、、、恐るべし!!!


ある意味、この作品は一つのBLの雛形の傑作と言えるのではないでしょうか。
BLのみならず、マンガ史に残る名作と確信します。


そして、ハッピーエンドのハッピーなセックス(コレがまた良かった❤️)の後のピロートークで、密かに二人を支えてくれた小野田の話が出てきます。


コレまで散々協力してくれた小野田ですが、この時点から外川にとってはライバルになってしまいました。


小野田にヤキモチを焼き始める外川。
外川って、すごくイイですよね。
このマンガの魅力は、もうほとんど外川という人物の魅力なんだと思います。
男らしいというんでしょうか。
一途で包容力がある。
いい加減なようでいて、実はちゃんと色々考えている。
上司としても実は人気があり、周囲からなんのかんの信頼されている。
一言で言うといい男なんです。


BLに限らず、マンガの魅力ってキャラクターの魅力に依るところが大きいんですね。


嶋くん、いいなあ〜。



そして、嶋くんの魅力に心ならずも気づいてしまった、小野田の話はスピンオフ、”それでも、優しい恋をする”に続きます。



あああー、キリがないよ!


BL恐るべし!!!