BoysLove's Blog

BL元年2019年、初心者のブログです。読後の感想を書いていますので、ネタバレです。できれば作品を読んだ後にどうぞ。

”憂鬱な朝”①:日高ショーコ

憂鬱な朝(1) (Charaコミックス)
憂鬱な朝(1) (Charaコミックス)
徳間書店
2013-11-01
Kindle本


さて、ちょっとヨネダコウで道草してしまいましたが、やはり日高ショーコさんの残りの作品がとても気になります。


残るは”憂鬱な朝”(全8巻)と、”花は咲くか”(全5巻)です。


うーむ。


幸いどちらも完結してますが、一度読み始めてしまったら、途中で止めることは恐らくできませんから、1巻を読み始めたが最後、全巻購入することになるはずですので、ちょっと躊躇します。


が、もはや止められません。


表紙の絵柄で、”花は咲くか”は「中年オジさんと美少年の年の差恋愛」という趣で、いまひとつ食指が湧きませんので、「華族様の上流階級での禁断の…」と言ったストーリーが予想される”憂鬱な朝”を選択しました。


ちょっと長いですが。
覚悟してまずは第1巻をポチっと。(ゴクリ)


思った通り、かなり読み応えがあります。
もはやBLを超えてしまっています。


思うに、どのようなジャンルであっても、ある程度以上のレベルになってしまうと、もうそのジャンルで収まりきらなくなりますよね。
”ベルサイユのばら”は少女マンガを超えた」とかね。


日高ショーコさん、油がノりにノっているというのでしょうか。
商業的にも安定した地位を確立したのか、描きたいものを、描きたい長さで、自由に描ける位置にまで辿り着いた感じですね。


久世家の直系後継の暁人が家令の桂木に、家督を引き継ぐための教育を受ける話。
暁人は成長するにつれ、桂木に恋心を抱くようになります。
所謂BL的なアクションが取られるのは、1巻の最後の方になってから。


それまでは、主人公の幼少期や二人の出会いなど、ジックリと話が進められていきます。
これだけ待たせてもファンはちゃんとついてくる、という自信があるからこそ、こんなに時間をかけてストーリーを進められるのでしょう。
そのおかげでストーリーは非常に深みのあるものになっています。


しかし、明治時代の華族階級なんて、なんてBL向きな舞台なのでしょうか。
スーツをビシッと着こなした、容姿端麗&長身の桂木の美しいこと。


10歳の暁人は、桂木との最初の対面で、もう完全に持ってかれてます。

光を背景に登場する桂木。桂井の美しさに目を丸くする暁人。
すりこみ完了、てなもんです。


BLマンガの魅力は、キャラクターの魅力であり、読者を魅了するメインキャラクターというのが登城しますが、この作品では桂木がそれに当たります。


もう一人の主人公である暁人の視点を通して桂木を見つめながら、桂木の美しさを読者が堪能していく、というのでしょうかね。


暁人から見た桂木。いつも背筋が伸びている。


最初は単純に非の打ち所のない人物である桂木を、恐れつつも尊敬していた暁人ですが、桂木の西園寺(男)との愛人関係を見たことで、桂木が男もイケることを知ります。


さらに嘉世子様との情事で乱れた服装の桂木を見てしまったことで、暁人は初めて欲情したと思われます。


乱れた髪、肌けたボタンシャツ。普段のピシッと隙なく決めた姿とのギャップにヤラれます。


やがて身体的に成長した暁人(17歳)、は、かなり強引に「命令」と称して桂木をねじ伏せてセックスしますが、暁人、虚しいんですよね〜。


だって、桂木にマジ惚れですから、カラダさえ手に入れればいいっていうもんじゃないわけです。


桂木はこの辺りではヤレヤレ、ウチの坊ちゃんはしょーがねー。とばかりに、イヤイヤ付き合っています。


「閉じた桂木の心を暁人が開いていく」のが大筋なのですが、大作ですから、いろんな伏線が張られており、二人が何故どのように関係性を築いていくかが丁寧に描かれています。


物凄くしっかり作られているだけに、気軽に楽しむBLではなく、読みこなすのに結構体力がいります。


大河ドラマを見るような心構えです。


作者さんも最後まで持っていくの10年ほどの時間をかけたようですが、そうですかー。
10年で8巻。つまり1年以上次の巻を待たなければならない時があったわけで、ファンとしてはもう、辛抱辛抱ですよ。


”ガラスの仮面”ほどではありませんが、さぞかし痺れを切らしたことでしょう。
(余談ですが、ガラスの仮面、作者さんの生きているうちに何とか描き上げていただきたいものです。)


ああ、(作品を知った時点で)完結していてよかった、と心から思います。


第1巻は「暁人が一方的に桂木に好意を持ち手篭めにする」というのが大筋で、長ーい物語の序章でした。


ふう、次の巻に読み進める前に、もう一回おさらいしないと話についていけません。