BoysLove's Blog

BL元年2019年、初心者のブログです。読後の感想を書いていますので、ネタバレです。できれば作品を読んだ後にどうぞ。

なぜBLなのか?<その2>:80年代ロックバンドへの「萌え」

また、80年代に入ってからは、イギリスやアメリカ発のロックバンドが女性的な化粧をするのが流行っていた時期で、男に対して「キレイ!」「美人!」といった褒め方をする現象がありました。
そして、そう言ったファンのメンタリティーは、今で言うところの「腐女子」に繋がるものがあったと見ます。


当のバンドメンバーとは全く関係ないところで、バンドのメンバー同士をBL的なパロディーでイジった、しまあつこの”8ビートギャグ”などが「腐女子的」なファンの側面を満たしていたと思います。

8ビートギャグ

「世界一美しい男」と言われたデビット・シルビアン。バンドの名前が「ジャパン」で、奥さんは日本人。

Duran Duranのニック・ローズ。美しいです。男臭さを感じさせません。


こう言った、化粧映えのする美しい男性への「萌え」というのは、日本人女性に非常に強いファン心理なのではないでしょうか。


80年代のイギリスのロックバンド、JapanやDuran Duranなどの多くのイギリスのバンドは、日本から人気が出て行きました。
そのため、当時はまずは日本でのプロモーションに力を入れて、日本での人気で勢いをつけて世界で売り込むという手法が、数多くのバンドで取られたほどです。


本国ヨーロッパや北米でのこういったロックバンドの位置付けは、ティーネージャー向けのアイドルだったと思います(例えば、日本におけるジャニーズ的な位置付け)。


一方の日本においては、女性のように美しい男性への「萌え」的な要素が強く、屈折(あるいは倒錯)した方法でのアイドライズ(Idolise)でした


一見同じようにキャーキャー騒いでるように見えても、その興奮の心理の仕組みは実は異なっていたのです。


本国では、若いティーネージャーのファンたちは、ロックスターとの恋(やセックス)を夢見たかもしれませんが、日本のファンたちはまるで宝塚歌劇を鑑賞するかのように、ロックバンドのメンバー同士の絡みに興奮(というより高揚)していたように思います。



>その3へ続く

なぜBLなのか?<その1>:BLは日本女性発のサブカルである

ここまで色々BLを読み進めてきましたが、もそもBLってどういうことなんでしょうか。


友人などから「BLって何?」と聞かれた時、


  1. 男同士の恋愛を描いたマンガ
  2. 読むのは(ゲイの男じゃなく)ストレートの女
  3. 登場人物はゲイじゃないのに、男を好きになっちゃうっていうのが多い、
  4. 詳細なセックスシーンがいっぱいある


なんて説明しますが、聞いてる相手はその時点で「なんじゃそりゃ?」っていう顔になります。
説明している自分も、説明しながら「なんじゃそりゃ?」って思うんですよね。
なんでホモのイチャイチャを、ストレートの女が喜んで読むんだよ、と。


「じゃあ、それってポルノなの?AVみたいなエロ発散目的で読んでるの?」と聞かれると、そこはビミョーなんですよね。


エロ目的にしては、あまりにも絵柄が凝りすぎているというか、エロだけとは言えない何かがあって、その「何か」がBLらしさだと思うんです。


では、その「何か」とはなんなのかを考えていたいと思います。


BL(ボーイズラブ)は日本の女性が発信したサブカルチャーです。
他のどの国でもなく日本の、そして女性のみから発信した全く新しい文化と言えると思います。
つまり、日本の女性独自の感性を発展させたジャンルですよね。


最近でこそBLと呼ばれていますが、少し前は「やおい」と呼ばれていましたね。
今でも海外では「Yaoi」と呼ばれているようです。
恐らくBoy's Loveだと、小児性愛みたいなニュアンスに聞こえるんじゃないでしょうか。
私自身米国在住ですが、最初に「Boy's Love」という言葉を聞いた時、そういうイメージを連想しました。


さて、BLの起源ですが、記憶にある限りでは、70年代から「美しい男同士が×××」という少女マンガはたくさんありました。


70年代の漫画雑誌には、”りぼん”や”なかよし”などの、いわゆる女の子向けの雑誌があり、これらのの雑誌のマンガはいわゆる普通の甘酸っぱい恋愛モノです。


主人公の女の子はあまりパッとしないけど、なぜかカッコイイ男のコにモテるという設定で、何というか、私から見るとなんか、イラッとするんですよね。


いがらしゆみこ”キャンディー・キャンディー”(1975年〜1979年連載)なんかが典型です。

テリィ、ロン毛です。


ちなみに幼少の頃はこの作品が何となく好きになれませんでしたが、高校生になってから友達に借りて全巻読んでみたところ、なかなか面白かったです。
やはり名作は名作なんですねぇ。
ちょっと年齢層が上がると”マーガレット”などを読むといったところでしょうか。


それに対して、”花とゆめ”や”フラワー”といった雑誌は、もっとストーリーや登場人物が複雑な作品を取り扱っていました。


その中には、今でいえばBLと言われる作品も多数ありました。
雑誌の半分ぐらいの作品がBL的な要素を持っていたと言っても過言ではないほどで、実はすでにBLは溢れかえっていたのです。


ただ「BL」や「やおい」といった名前が付けられていなかっただけで。


その頃にりぼん・なかよしではなく花とゆめ・フラワーを選ぶ姿勢というのは、ある種のツウ好みというのか、普通のマンガでは飽き足らない一種の向上心のような、いわゆる「意識高い系」的な考え方があったような気がします。
フツーの男女の恋愛モノじゃ面白くない、と言いますか。


例えば、魔夜峰央”パタリロ!”では美少年キラー、バンコランの奔放な美少年との性的な関係がほぼ毎回のように描かれており、マリネラ王国の国王パタリロの親衛隊であるタマネギ部隊も、ゲイの美少年で構成されています。

70年代でコレですよ。


更に言えば、少女漫画の金字塔とも言える「ポーの一族」のエドガーとアランの関係性もBL的ですし、萩尾望都(巨匠!)の他のマンガも、男同士での恋愛、あるいはバイセクシャルなキャラクターが数多く描かれています。


また、河惣益巳”ツーリングエクスプレス”という作品は、もう、まごうことなきBLでした。

ディーン(殺し屋。ゴルゴ13の超美形バージョン)とシャルル(ひたすらカワイイ)の話。


更にいえば、山岸涼子”日出処の天子”(名作中の名作)も、BL黎明期の大作と言っても良いのではないかと思います。

名作中の名作、”日出処の天子”


こういった作品を多数読むことで、BL的メンタリティーというのは築かれていきましたし、BLというジャンルの素地も固められていったのではないでしょうか。


>その2へ続く

”VOID”:座裏屋蘭丸

VOID (ビーボーイデジタルコミックス)
VOID (ビーボーイデジタルコミックス)
リブレ
2016-04-28
Kindle本

座裏屋蘭丸作品第二弾です。


”リカー&シガレット”よりも数年前に描かれた作品のようで、絵が少し違います。
この作品の絵も十分美しいのですが、この作品以降に随分上達したことが見て取れます。


結論から言うと、この作品はそれほど好きにはなれませんでした。
と言うのも、私は暴力が苦手なのです。
ですので、ストーリー前半の、サディスティックなセックスが好きじゃないんです。


完全に個人的な趣味の問題で、作品としての完成度はとても高いですし、絵も申し分なく美しいです。
特にハダカの描かれ方は見事です。

ビシっと引き締まった美しい筋肉。


うーん、作風のせいか、”リカー&シガレット”のように何度も読み返すと言うことはなさそうです。。。



が、おそらく座裏屋蘭丸さんの他の作品も、遠からず全て読むことになりそうです。

”リカー&シガレット”:座裏屋蘭丸

リカー&シガレット (バーズコミックス リンクスコレクション)
リカー&シガレット (バーズコミックス リンクスコレクション)
幻冬舎コミックス
2018-05-24

 日高ショーコヨネダコウをあらかた読み終えてしまい、さて、お次は?となってから、色々検索し、試し読みなどしてみましたが、なかなか食指が動くような作品がありません。


もしや、日高ショーコヨネダコウっていうのは、かなりハードルの高いスタートだったのかも。。。と青ざめる日々が続きました。


どうやら絵柄が好みであるかが必須のようです。
なんか、絵柄が好みじゃなかったり、デッサンが狂っていると一気に萎えるんですよね。
そこで目に留まったのが座裏屋蘭丸さんの絵。


これってンガっていうよりも一流のイラストレーションといって良いのでは、というぐらい作画力が高い作家さんがたまにいますが、座裏屋蘭丸さんもなんかそういう匂いがします。


評価も高いようです。


これは、試す価値ありでしょう、とポチっと。
で、結論から言うと、大当たりでした。


私がBLマンガに求める要素がバッチリ含まれており、と言うか、それをはるかに超えた作品です。


まず、どのページもそのまま額縁に入れて飾りたいほど美しい。


「カラーの表紙だけめちゃくちゃ頑張っていて、本編はさほどでも」って言うマンガが結構あるのですが、この方のマンガは表紙と同じ(あるいはそれ以上の)クオリティーの作画が全編で繰り広げられています。


マンガというのは、本当に優れた媒体だとつくづく思います。


絵柄を楽しむビジュアリスティックなアートの部分と、文字を読み解く小説的なコンテンツの融合。


私は、他のどの媒体よりもマンガが抜きん出て好きです。


映画とかNetflixのようは映像コンテンツは面白いけど、自分のペースで進められないんですよね。
2時間とか3時間、集中を強いられるというか。


小説も夢中で読み耽って徹夜するほど面白いものはありますが、マンガよりも取っつきにくいというのでしょうか。
入り込むのに少しばかりの努力を要します。


マンガは絵でビジュアル的に一瞬で引き込まれますからね。
「よーし、読むぞ!」っていう決意みたいなものがいらないんですよね。


この作品は、ああ、マンガというものがこの世に存在してくれていて本当によかった!と思えるような、至福のマンガ体験をさせてくれました。


イタリアと思われる景色はひたすら美しく、まるで実在している小さな街を自分が旅行しているかのように、リアルに描き出されています。


カラーの表紙、巻頭のカラーページの色の取り合わせは、もはやアートといって良いほどセンス良いです。


そして、何と言ってもカミロです。

Tシャツ脱ぎカミロ!このカラダを見よ!!
こういうTシャツの脱ぎ方(”囀る〜”の百目鬼もやってました)って、かなり鍛え上げられた身体じゃないとできないですね。


BL史上最強のキャラ?カミロ!
カミロに口説かれるテオの回想が、カミロの男としての魅力を表現しています。


「首も太いし」
「以外に筋肉質で胸板厚いし…」


でも、それだけじゃないですよ。
こんなターザンみたいなカラダのくせに、顔は妙に甘ーいんです。
目つきはトローンと潤んで優しげ。
そして、実際に優しい。


「優しい」っていうのはいい男の必須条件だと思います。はい。


ノンケのテオをすこーしづつ、それこそ用心深く大事に大事に陥落していくのですが、実に我慢強いんです。


本当はさっさとヤッちまいたいだろーに、テオがその気になってくれるまで、あの手この手で男の快楽に目覚めさせていきます。


色っぽい目つきをさらに引き立てる緩やかなウェーブのロン毛ってのも、絶妙ですし、さらにカミロの身につけている右手人差し指の指輪と左手の時計も、小憎いほどにカミロの魅力を引き立てています。


ところで、これほど魅力の溢れに溢れたカミロは、なぜテオが好きなんでしょうかね。
どうやらかなり長い間片思いしているようです。
赤ちゃんの頃からの付き合いですから、子供の頃に何か刷り込まれたんでしょうか。


とにかく、テオはラッキーなヤツです。


そして、この作品の脇役もなかなかいい味出してます。


私のお気に入りはディエゴ(ノンケ)マリノ(ゲイ、ネコ)です。

いいカラダのディエゴにじゃれつくマリノ。
この二人でスピンオフとか、美味しそうです。


付き合い始めて以降のカミロとテオのショートストーリー(描き下ろし!)の”Love”が収録されていますが、これはまた大サービスというのか。


付き合い始めてさらに情熱的になるカミロがたまりません。


イタリア男の恋愛への情熱って、有名ですもんね。


私もイタリア人の知り合いは何人かおりましたが、魅力のある女性に彼氏がいないとわかっていれば、とりあえずさらっと口説き文句を挨拶に入れてきます。


「Chiao, bella!」(英語で言えば、Hello, beautiful!って感じでしょうか。日本語ではこいうカジュアルに女性を褒めるような表現がないですね)


に始まって、なんつーか、艶っぽい言葉を会話に散りばめてくるんですよね。
付き合い始めると、結構ベッタリとするようです。
ただ、相手のいる女性には一線はちゃんと引いていることが多いようです。
私も、彼氏と別れたら急に周りのイタリア人男性の態度が艶っぽくなったという経験があります。


余談になりましたが、この最後の”Love”「ジョグストラップ」の使い方を始めて知りました。

ジョグストラップ。
私、90年代にハウスミュージックが大好きで、当時NYのゲイクラブに足繁く通っていたのですが、このジョグストラップをつけているゲイが多かったんですよ。


まあ、おケツを出してエッチでありつつも、蒸れない、履きやすいっていう機能性を兼ね備えたデザインだから人気なのかしら?と思っていましたが、こういう用途があったんですねぇ〜。


知りませんでした。

Kindleでマンガを読む

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ところで、皆さまどのような媒体でマンガを読んでいますか。
私はここ数年はアマゾンの電子書籍を購入し、iPadのアプリ(Kindle)で読んでいます。


一時期数年間にわたり、各地を放浪していた時期がありましたが、旅のお供に本は必須でした。
しかし、本って重たいんですよね。
しかもすぐに何冊にもなってしまう。
文字通り重荷になってしまいます。


そんな状況の中、タブレットや電子書籍リーダーが登場した時、すぐに飛びつきました。
ノートパソコンをiPadに、紙の本をKindleに置き換えたことで、荷物は確実に軽減されました。


その後、一箇所に落ち着いて住むようになってからも、紙の書籍を買うことはせず、電子書籍を利用し続けています。


家の中でも本棚というのは大きな場所を取りますし、特にマンガはどんどん増えますから、データで購入するのが理にかなっていますし、アマゾンが存続する限りはデータとして手元にありますから、いつでも読みたいマンガを読めます。


マンガ読みにとっては良い時代になりました。



文字の書籍はKindleで読みますが、マンガには画面が小さすぎるようです。
そのため、マンガに関してはiPadで読んでいます。


また、古本やレンタルを出来るだけ利用せず、電子書籍を購入するようにしています。
これは、マンガ作家さんへのマンガ制作への大変な労力にできるだけ報いたいと思うからです。
お金の使い道を自分で決められるのですから、大人になって良かったとつくづく思います。
親元にいた子供時代なんて、マンガの購読は許してもらえていましたが、それでもBLなんてあり得なかったでしょうし…。


ただ、電子書籍はクリックひとつで購入できてしまいますので、歯止めが効かないのが恐ろしいところです。


毎月の引き落としの旅にドキドキしております。