- リカー&シガレット (バーズコミックス リンクスコレクション)
- 幻冬舎コミックス
- 2018-05-24
- 本
日高ショーコ、ヨネダコウをあらかた読み終えてしまい、さて、お次は?となってから、色々検索し、試し読みなどしてみましたが、なかなか食指が動くような作品がありません。
もしや、日高ショーコ&ヨネダコウっていうのは、かなりハードルの高いスタートだったのかも。。。と青ざめる日々が続きました。
どうやら絵柄が好みであるかが必須のようです。
なんか、絵柄が好みじゃなかったり、デッサンが狂っていると一気に萎えるんですよね。
そこで目に留まったのが座裏屋蘭丸さんの絵。
これってマンガっていうよりも一流のイラストレーションといって良いのでは、というぐらい作画力が高い作家さんがたまにいますが、座裏屋蘭丸さんもなんかそういう匂いがします。
評価も高いようです。
これは、試す価値ありでしょう、とポチっと。
で、結論から言うと、大当たりでした。
私がBLマンガに求める要素がバッチリ含まれており、と言うか、それをはるかに超えた作品です。
まず、どのページもそのまま額縁に入れて飾りたいほど美しい。
「カラーの表紙だけめちゃくちゃ頑張っていて、本編はさほどでも」って言うマンガが結構あるのですが、この方のマンガは表紙と同じ(あるいはそれ以上の)クオリティーの作画が全編で繰り広げられています。
マンガというのは、本当に優れた媒体だとつくづく思います。
絵柄を楽しむビジュアリスティックなアートの部分と、文字を読み解く小説的なコンテンツの融合。
私は、他のどの媒体よりもマンガが抜きん出て好きです。
映画とかNetflixのようは映像コンテンツは面白いけど、自分のペースで進められないんですよね。
2時間とか3時間、集中を強いられるというか。
小説も夢中で読み耽って徹夜するほど面白いものはありますが、マンガよりも取っつきにくいというのでしょうか。
入り込むのに少しばかりの努力を要します。
マンガは絵でビジュアル的に一瞬で引き込まれますからね。
「よーし、読むぞ!」っていう決意みたいなものがいらないんですよね。
この作品は、ああ、マンガというものがこの世に存在してくれていて本当によかった!と思えるような、至福のマンガ体験をさせてくれました。
イタリアと思われる景色はひたすら美しく、まるで実在している小さな街を自分が旅行しているかのように、リアルに描き出されています。
カラーの表紙、巻頭のカラーページの色の取り合わせは、もはやアートといって良いほどセンス良いです。
そして、何と言ってもカミロです。
Tシャツ脱ぎカミロ!このカラダを見よ!!
こういうTシャツの脱ぎ方(”囀る〜”の百目鬼もやってました)って、かなり鍛え上げられた身体じゃないとできないですね。
BL史上最強のキャラ?カミロ!
カミロに口説かれるテオの回想が、カミロの男としての魅力を表現しています。
「首も太いし」
「以外に筋肉質で胸板厚いし…」
でも、それだけじゃないですよ。
こんなターザンみたいなカラダのくせに、顔は妙に甘ーいんです。
目つきはトローンと潤んで優しげ。
そして、実際に優しい。
「優しい」っていうのはいい男の必須条件だと思います。はい。
ノンケのテオをすこーしづつ、それこそ用心深く大事に大事に陥落していくのですが、実に我慢強いんです。
本当はさっさとヤッちまいたいだろーに、テオがその気になってくれるまで、あの手この手で男の快楽に目覚めさせていきます。
色っぽい目つきをさらに引き立てる緩やかなウェーブのロン毛ってのも、絶妙ですし、さらにカミロの身につけている右手人差し指の指輪と左手の時計も、小憎いほどにカミロの魅力を引き立てています。
ところで、これほど魅力の溢れに溢れたカミロは、なぜテオが好きなんでしょうかね。
どうやらかなり長い間片思いしているようです。
赤ちゃんの頃からの付き合いですから、子供の頃に何か刷り込まれたんでしょうか。
とにかく、テオはラッキーなヤツです。
そして、この作品の脇役もなかなかいい味出してます。
私のお気に入りはディエゴ(ノンケ)とマリノ(ゲイ、ネコ)です。
いいカラダのディエゴにじゃれつくマリノ。
この二人でスピンオフとか、美味しそうです。
付き合い始めて以降のカミロとテオのショートストーリー(描き下ろし!)の”Love”が収録されていますが、これはまた大サービスというのか。
付き合い始めてさらに情熱的になるカミロがたまりません。
イタリア男の恋愛への情熱って、有名ですもんね。
私もイタリア人の知り合いは何人かおりましたが、魅力のある女性に彼氏がいないとわかっていれば、とりあえずさらっと口説き文句を挨拶に入れてきます。
「Chiao, bella!」(英語で言えば、Hello, beautiful!って感じでしょうか。日本語ではこいうカジュアルに女性を褒めるような表現がないですね)
に始まって、なんつーか、艶っぽい言葉を会話に散りばめてくるんですよね。
付き合い始めると、結構ベッタリとするようです。
ただ、相手のいる女性には一線はちゃんと引いていることが多いようです。
私も、彼氏と別れたら急に周りのイタリア人男性の態度が艶っぽくなったという経験があります。
余談になりましたが、この最後の”Love”で「ジョグストラップ」の使い方を始めて知りました。
ジョグストラップ。
私、90年代にハウスミュージックが大好きで、当時NYのゲイクラブに足繁く通っていたのですが、このジョグストラップをつけているゲイが多かったんですよ。
まあ、おケツを出してエッチでありつつも、蒸れない、履きやすいっていう機能性を兼ね備えたデザインだから人気なのかしら?と思っていましたが、こういう用途があったんですねぇ〜。
知りませんでした。